借金、ドラッグ、原発が絡みあう映画 裸のいとこ

俳優、小説家、そして映画監督と、マルチな才能を見せる大鶴義丹が、再びメガホンをとった映画が「裸のいとこ」です。意味深なタイトルで、どんな映画なのだろうと興味がそそられますが、金、女、ドラッグに溺れ、最後は借金の取り立てに逃げるようにやってきた実業家の男が流れ着いたのは、震災後の爪痕がまだ残る、福島の相馬市でした。金、ドラッグ、女にぼろぼろになっていた男が、震災や原発でぼろぼろになった世界でもなお強く生きていこうとしている人々を前に、心が動かされ、自分もこの世界で生きたいと願うようになるという、シチュエーションが非常に興味深いところです。

このような対象的な世界に生きる人間が交差するとき、人はどう変わっていくのか。それとも変われるなんて幻想なのか。主人公の男が本質的に内に持っている自堕落的な性格が、このような被災地にいながらも目覚め始めます。主人公の男を演じる湯江健幸と、天真爛漫に生きるいとこ役の佐々木心音との複雑な関係が中心となって物語は進んでいきますが、様々な人間描写が深くて考えさせられます。また、なぜか佐々木心音には超能力があってという設定も、暗くなりがちな展開に、意外感を与える効果があって面白いと思います。「裸のいとこ」は、DVDになってレンタルが開始されていますので、映画館で見逃してしまった人は、DVDがおすすめです。見終わった後も、しばらく余韻が残る、そんな作品に仕上がっていますよ。