映画 裸のいとこ 考えさせられるラブストーリー

映画 裸のいとこは、大鶴義丹監督の原発事故がテーマの作品です。
地震、津波、原発事故の被害の爪痕が今も消えず残る、福島県南相馬がロケ地となっています。
映像でも実際の被害状況が手に取るようにわかり、胸がしめつけられる景色です。
製作に2年かかったという話にもあるように、最初の警戒区域から事故現場の方へだんだん近づいていくロケーションから、事故後のあてのない長い生活が感じとられます。
原発周辺の警備の生々しさや、海辺の殺風景な様子など、現地の様子が映し出されていて、災害、事故の大きさがわかります。それでも、自然豊かな相馬市の雰囲気が優しい映像として心に残ります。
映画 裸のいとこは、被災者の女の子の目線と、災害とは関係のない生活をしていた男の目線が、見る人に考える目線を与えています。被災にもめげずに立ち向かっている人々の力強さとは裏腹に、誰もが復興に向けて前向きに生活しているわけではない心の内のジレンマや、やけを起こさずにはいられない生活の現実が垣間見られ、被災の大きさをあらためて考えさせられます。
ラブストーリー仕立てになっているのが斬新で、他のドキュメンタリー映画など、原発事故をテーマにした作品としては、生活感のある作品となっています。
どんな状況でも人間は惹かれあうものであり、支えあう心は無意識に生まれるものだと感じます。
これからもまだ深い爪跡を残しながら、あてのない事故処理が続く現実をかかえて、それでもここで生きていくという強い意志が胸を打ちます。